円高のピークは超えたのか?FX相場を語る!

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ココがポイント

  • 介入や金融緩和の思惑で、ドル円は85円台の動きが続いていた。
  • 日本当局の無策で、円買いに青信号。
  • 米経済指標大幅悪化で、ドル/円は一時83円台半ばまで下落。
  • 今後の見通しは?⇒政府介入の期待感で現在はやや買い戻し優勢。ただし世界経済や、ユーロ圏問題など、根本的な問題に変化がなければトレンドとしての円高傾向の転換にはつながらないと予想。
  • ドル/円トレンド転換の条件は?⇒米金利の底打ちが見えてくるまでは、じりじりと円高が進み、米金利の安定化やユーロ圏のソブリン・リスク問題の解決への道筋が確認できればゆっくりと反転すると予想。

介入や金融緩和の思惑で、ドル/円は85円台の動きが続いていた

8月11日、昨年11月につけた安値を割り込み、約15年ぶりの水準となる84.72円の安値をつけた後は、一時86円台を回復し、その後も85円台を中心としたレンジ取引に移行していました。
この間、主要国の経済指標が予想を下回って発表されるなどして、リスク回避的な動きが拡がり、クロス円での円高はじわじわ進んでいましたが、日本当局の介入に対する思惑・期待などもあって、ドル/円は下げ渋る動きとなっていました。

 

8月第3週には、各種報道で「週明け23日に菅首相と白川日銀総裁が円高対策で会談」と伝えられました。
昨年11月に円高が進んだ際、首相と総裁の会談を前に、日銀が緊急金融政策決定会合を開催して、いわゆる「新型オペ」を導入、金融緩和を行なったことから、今回も会談を前に日銀が緊急金融政策決定会合を開催し、追加的な金融緩和策を打ち出すのではないか、との思惑が高まりました。
そのため、ドル/円は事態の進展を見極めようとの姿勢から、さらに動きづらい展開となっていました。

日本当局の無策で、円買いに青信号

週明け23日、菅首相と白川日銀総裁の会談は実現せず、代わりに電話会談が行なわれた、と発表されました。
仙谷官房長官の記者会見によれば、時間は僅か15分、為替動向を含む現在の経済金融情勢について意見交換したに留まり、為替市場での円売り介入は議題に上らなかったとのことでした。
この報道は、市場参加者に「日本当局は、円高に対抗する為の具体的な手段を何も持っていない」と理解され、それまで当局の動きを牽制して円買いを控えていた向きに、円買いの青信号を点した結果となりました。
この日は、欧州の一部経済指標結果も弱いものだったことからユーロ/円などクロス円中心の円高となりました。

米経済指標大幅悪化で、ドル/円一時83円台半ばまで下落!

翌24日午後、野田財務相が記者会見を開き、円高に関してコメントをしました。
しかし、内容はそれまでの文言を繰り返したに過ぎず、まったく新鮮味のないものだったため、この記者会見後からドル/円、クロス円で円高が進み、ユーロ/円は2001年7月以来の安値105.44円をつけました。

 

その後NY時間になって発表された米・7月中古住宅販売件数は、前月比27.2%も減少して383万件と、市場予想(465万件)を大きく下回り、1999年の統計開始以来最低の水準を記録しました。
これを受けて米長期金利が急低下、米金利との相関性の高いドル/円も売られ、1995年6月以来の83.58円をつけました。

現在はやや買い戻し優勢。今後の見通しは?

その後、今のところ買い戻し優勢の動きとなっています(26日15時現在)。
理由は、日経新聞が「日銀が追加緩和検討、臨時会合で決定も。財務省は単独介入も視野に。」と報じたこと、また一部報道が「野田財務相がガイトナー米財務長官との電話会談を検討している。」「複数の政府筋は、為替市場での円売り介入について排除していない、と述べ。」と報じたことなどから、日本政府が為替市場介入に向けた動きを具体化させているのではとの思惑が高まったからです。

 

しかしながら、こういった思惑は長期間持続できるものではありません。
今後85円近辺の円高水準が続いた場合、介入への期待感だけでは大きな反発のきっかけとはならないと考えられます。
また、実際に介入を行なったとしても、世界経済や、ユーロ圏問題など、根本的な問題に何の変化もなければ、介入で上昇したところが絶好の売り場、となってしまい、トレンドとしての円高傾向の転換にはつながらないでしょう。

トレンド転換の条件は?

介入が効果を上げるためには、国際的なコンセンサスに基づいた、金融政策(安くしたい通貨の金利を相対的に下げ、高くしたい通貨の金利を相対的に上げる)を伴った協調介入であることが必要です。
ところがこのところのG20などでは、為替操作に対する国際的な非難が集まっており、かつてのような協調介入というのは事実上考えられません。
また金融政策の面でも、現在の動きは、円高・ドル安を支持するものになっています。

 

ただ、ドル金利の低下余地はますます小さくなってきているので、その意味からは底打ちは意外と近いのかもしれません。
しかし同様に日本も金利の下げ余地はほとんどありませんので、金融政策と介入のセットで急速にドル/円が反転する、というシナリオは想定しにくくなっています。

 

また長期的な円高の大きな要因である、世界経済の回復ペースの急速な減速、ユーロ圏のソブリン・リスクの高まり(財政悪化問題)といった諸問題も、急激に回復すると考えることは現実的ではないでしょう。

 

したがって今後のドル/円相場は、米金利の底打ちが見えてくるまでは、じりじりと円高が進み、その後米金利の安定化やユーロ圏のソブリン・リスク問題の解決への道筋が確認できればゆっくりと反転する、というのが現実的なシナリオと考えます。

 

底値の目安としては、月足ボリンジャーバンド-2σのある82円台前半近辺や、ドル/円の戦後最安値の79.75円近辺などが考えられます。